「お母さんが入院した」
動転した声で父から電話があったのが数日前のこと。
驚いてどうしたのと訊ねると、家の中ですべって転んで背中を打ち、
背骨を圧迫骨折したのだそうだ。
救急車で運ばれて、しばらくは絶対安静だという。
といっても手術をするわけでもなく、話も出来るし元気だから大丈夫だ、
と一応父は言うが、母と二人暮しの家にひとり取り残された父のことも
心配である。
家事なんか何も出来ないに違いない。
そんなこんなで昨日はおよそ10年ぶり(!)の帰省となった。
その気になれば、新宿から高速バスで2時間40分ほどの距離である。
休みは一日しか取れなかったのでとりあえず日帰りで様子を見に行く事に
した。
田舎ゆえ、街並みはさほど変わっていないように思えたが、実家の周りは
新しい家がずいぶん建ち並んで、うちだけ妙に古びて見える。
冷蔵庫を開けてみると、野菜が丸ごと手つかずで入れっぱなしになっていて
父の食生活が偲ばれた。。。大丈夫かしら。。。
父と一緒に病院に行くと、母は仰向けに横たわっていて弱々しげだったが
私の顔を見ると笑顔を見せた。
横を向いて、お茶をストローで飲んだりは出来るとのこと。
でも食欲がまったくない、と言う。
入院するのなんて私を産んで以来だというから、ショックもあるのだろう。
涙が出そうになったが、顔を見たら少し安心した。
母の入院のせいで日頃疎遠な姉や兄ともメールや電話で頻繁に連絡を
取るようになった。
兄は前日お見舞いに来た時の様子を知らせてきたし、姉は日曜に行くからと
言う。
きょうだいでメールし合うというのはなんだか気恥ずかしい。
・・・いや、世間では普通なのか。。。
ともかく母に早く元気になってもらわなければ。
これからの時期、信州の冬はひときわ寒い。
看病する父も大変だろう。
病気も怪我も季節を選んではくれない。